ごみばこ

無断転載禁止。Do NOT post my novel on any website.

ルシサン小話(ただのえろ

軋む音を立てて揺れる寝台。その上で一糸纏わぬ姿でサンダルフォンは声を押し殺していた。
足の間には敬愛する銀の天司がズボンを履いただけの姿で、獣のような息遣いをしながら腰を振っている。後孔に突き入れられた剛直はその身を焼き尽くされそうなほど熱く、腹部が圧迫されるほど太かった。
息の合間に名を呼ばれ、霞む視界のまま見上げれば愛する人が涼やかな蒼い瞳に劣情の色を宿して見下ろしている。
「...気持ち...いいかい...っ?」
粘着質な水音が結合部分から漏れ、鼓膜を刺激していく。
腰を打ち付ける音やそれらの生々しさが今、2人がしている事の淫靡さを醸し出し、サンダルフォンははふはふと呼吸をしながらルシフェルを見つめ返す。
「は、...い」
息も絶え絶えに返した言葉はあまりにも短く、稚拙なものだが、ルシフェルはその二文字に全てを理解したのか慈愛を込めて愛し子を見下ろす。
室内はいくらか涼しいが甘くも激しい情事に肩や頭の中に汗が滲む。
篭もる熱気には淫らな匂い香が混じっていて内に眠る獣が理性を食い破りそうになる。サンダルフォンを、愛する子を本能のままに貪りたい心を抑えて視線の下にいる肢体を見れば、手が白くなるまで握り締めたシーツ、肩で息をしている姿は快感を落ち着かせようとしているにも見えた。
上気した頬は普段の凛とした彼とは違い、少し幼い。
こめかみから顎を伝って流れる汗が、紅い花弁を散らした白い肌に落ちて雫が広がる様はサンダルフォンが自分のものに染まっていく感覚に陥る。
それは相手も同じなのか、汗で湿った肌に指を這わせて熱に浮かされた瞳で濡れた指を見つめ、音を立てて舐めた。
ルシフェルから与えられた物を体内取り込もうとする従順な姿。中に放った精ですら掻き出したくないとごねた事もあった。
星晶獣だから人の子のように腹を下す事も無ければ、男性体故に子を孕む事もない。
それでもサンダルフォンは敬愛する人からの贈り物を無駄にはしたくないのだと瞳を揺らして切に訴えた。
彼に甘いルシフェルは止める事はせずに好きにさせていたのだが。
扇情的な光景に眩暈がしそうだ。
我が子の淫らな仕草に無意識の内に腹の奥が熱くなり、サンダルフォンの胎内に埋めた剛直が更に熱を増す。
微かな甘い声をあげたサンダルフォンは緩やかに腰を揺らすと、自分の薄い腹の上に手を置いて蕩けた顔で微笑んだ。
「あなたの熱を感じます」
もっと欲しいと願うのは傲慢だろうか。いや、手を伸ばせば必ずルシフェルがその手を取ってくれると信じている。
安っぽいチープな言葉では伝えきれない想いを込めて名を呼べばルシフェルは呼び返してくれた。
歓喜に打ち震える心はこのまま消えてしまっても構わないとさえ思えた。
煌めく蒼い瞳に全身を射抜かれ、この人に全てを曝け出し、そして余すこと無く愛を注がれる。
「髪の毛1本から、血の一滴まで...俺はあなたのものです」
だからどうか、俺にも貴方を下さい。
願いを込めてシーツを掴んでいた手を離して、その腕を伸ばせば溶けて、混ざって、一つになってしまいそうな一途な愛おしさに惹かれ、ルシフェルは上体を倒して赤い舌が覗く唇に吸い付くと、そこは僅かに塩の味がした。