ごみばこ

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if軸捏造設定込みの9A(零式)

いつもの様に授業が終わるとリフレに行き、各々に好きなものを食べる。
ナイン、エースもそのうちの1人でお互いにカウンターに座って注文をすると、出来上がりまでの間を話しながら待っていた。
次の休みはどこに行くか、その前に試験だろう、と。
そんな折、ふとエースが料理人の動きをじっと見て一言「...マザーの料理、暫く食べていないな」と洩らした。

「そうだっけか?」
「ああ。最近は任務も多いからなかなかマザーの顔も見に行けないしな」

オリエンス4カ国はパクスコーデックスによる不可侵条約によって理由無き侵略行為を認めず、また、平和の為の協力関係にあった。
エース達が魔導院に入学する前までは互いに領土の取り合いで戦争をしていた事もあったようだが、ここ数年、異常なまでに増殖し続けるモンスターや、外敵からの侵略が増えた事にコンコルディア王国女王、アンドリアの一声によって協定が交わされ、今日に至る。
そうして協定後に魔導院ペリシティリウム朱雀に入学した者達は、合同演習や外敵による実戦演習、べスネル鍾乳洞等のダンジョン内部にて戦闘能力評価で単位を取っていた。
そうして成績が優秀な者から番号の若い順でクラスに振り分けられ、優秀な者からより過酷な任務を与えられる。
エース達、ドクター・アレシアに引き取られた孤児院の子供達は全員戦闘能力に特化しており、極めて優秀な0組に配属されていた。
前述、エースが言っていたように任務が多いと言うのはそれだけ彼らが信頼されている証であり、喜ばしい事なのだが任務完了をして戻ればまた次、という目まぐるしいまでの忙しさにエースは少々疲れ気味になっていた。
マザーの料理が食べたいだなんてよっぽど疲れているんだろう、ナインはフォークを口に加えながらぼんやりとエースの様子を眺める。
食べたいと言ってもマザーも多忙故に会いたいからと言って会える訳でもなし、会えても手料理なんて食べれるかが分からない。
あまりのハードルの高さにどうしたものかとガラにもなく考えていると、同じ様に任務から帰還したのかレムとマキナがリフレの転送魔法陣から出てくる。

「レム...もう少し任務の難易度下げないか?あちこち痛いんだ...」
「ちょっと筋トレ足らないんじゃないのかな?...あっ、エース!ナイン!戻ってたの?」
「お前らも戻ってたのか」
「おかえり、2人とも」

2人を見付けた幼馴染み組はエースの横にマキナ、ナインの横にレムが座って注文を始める。
仲悪いのかコイツら。
しかしさっきまでのぐったり顔は何処へやら。エースの横に座ったマキナはいつもの眩しいくらいの爽やか好青年の表情で任務はどこだったのかと話し掛けている。

「蒼龍ホシヒメと合同で北トゴレスの掃討作戦にあたってたんだ」
「へえ!蒼龍と合同だなんて凄いじゃないか!俺も一緒にやれる日が来るかな...」
「マキナなら平気じゃないか?今回のだって結構ハードだってキングから聞いた」
「あーあれさ、レムと2人で現地着いたらカトル准将とキングが顰めっ面で並んで腕組んで待ってるんだぜ。なんかもうおかしくて任務どころじゃなかった...」

光景を思い出したのか肩を震わせて笑い出すマキナにエースも釣られて控えめに笑う。
どう見ても成人してるとしか言えないキングがカトルと並んでいるだけでもインパクトが強いというのに、更にそこに来て眉間に皺を寄せているのだと言うのだ、これが笑わずにはいられない。

「あんまりに笑いすぎてマキナってば『任務に行く前に少し手合わせをするか』ってキングにボロボロにさせられてたんだよ」
「おっ、おいレム!それは言わない約束だって...!」
「そんな約束知りませーん」

エースとナインを挟んで約束を言った言わないの押し問答をしている2人を尻目に、出された食事を食べながらナインが「老け顔なの気にしてっからな」と言えば、エースは後で言いつけておこうと誓う。
出されたオムライスを一口食べればケチャップライスと柔らかいふわふわ卵にデミグラスソースが絡まって、コクのある優しい味わいが口いっぱいに広がる。

美味しい...んだけど、やっぱり

マザーの料理が食べたい。
任務に疲れたのもあるのだろうが、あの懐かしい味が食べたかった。
もくもくと食事を続けるエースは傍目から見ればいつもと何も変わらないが、付き合いの長いナインには違いが分かる。
確実にホームシックのような状態になってるエースをそのままには出来ないナインは背中側で言い合いを続けてる2人に声をかけた。

「おい、痴話喧嘩してっとこわりいんだけどよ」
「誰と誰が痴話喧嘩なんだ?」
「お前とレム」
「待って、やめてナイン。マキナとそんな噂になったらもう私魔導院退学したくなる」
「そんな言い方ないだろ...」
「本当の事だよマキナ。いつまで経っても本命に告白しないヘタレ全開なのに、私に話す時だけはすっごいだらしない顔して可愛いだのなんだの喋ってるじゃない。あ、ごめんねナイン。話があるんだよね?」

今とんでもない事を聞いた気がするが、レムに用件を催促されればナインは頭を掻きながら「後ででもいいか?」と返す。
その様子にレムはエース絡みの話なんだろうと察して笑顔で頷く。
言っておくが、別にレムはマキナと恋人になりたいとは1ミリも思っていない。マキナが本命とやらに告白も何もしないのも楽しんでいるし、本人を目の前にするとやたらとカッコつけたがる癖に何も言えないそのヘタレな性格が弟のように可愛いのだ。
可愛いが故のいじめたくなる性分に我ながら意地悪だなと思うが、しょうがない。
運ばれたビーフシチューに舌鼓を打ちながらナインの話はなんだろうと考えていた。

「えっ料理?!」
「ばっ...声がデケぇっつーの!」
「ご、ごめん」

昼食の後、クリスタリウムに行くと言ったエースと別れたナインはレムの部屋にお邪魔をする形で相談をしていた。
昼食中、何とかしてエースを喜ばす方法がないかと考えたナインが、辿り着いた先の答えは自分が料理を作って食べさせる事。
流石行動する力を持つ男ナイン。
そうと決まれば善は急げと言わんばかりに作ろうと思ったが、何分ナインには料理の経験がない。
だからレムに相談を持ちかけ、話したのだ。
ポケットに両手を突っ込んで照れ臭そうに唇を尖らせてちょっと料理っつーの教えろよコラと話すナインの衝撃と言ったら、あまり動じないレムにショックを与えた。
最初は冗談でも言ってるのかと思ったレムだったが、エースの調子や、エースがホームシックになってる事、エースが元気がない事など、エースの話をこれでもかと聞かされたレムはナインの本気度を知る。
呆れつつもその真摯な様子に心打たれると、マキナごめんねと胸中で呟くと自身の胸をドン、と叩いてにこやかに微笑み私に任せて!と買って出た。

「所で何作るの?」
「...ニワトリ?」
「え?」

エプロンを付ける手が止まる。
冗談なのかと問いただそうとすると、ナインを見れば顎に手を当てて考えているようだ。

「卵焼きか?マザーのやつがちょー美味くてよ、エースも好きなんだよな」
「卵焼きかぁ、なるほど」
「ソイツを作るのにまずはニワトリから必要になんだろ?」
「あっ、うん。大丈夫、卵なら冷蔵庫入ってるから。ニワトリはいらないよ」
「マジかよすげえな」

感心するナインを放っておいて卵を2個取り出すと、コンコン、と角で軽く叩いてヒビを入れ、ボウルの中に中身を落としていく。
殻を捨てたら泡立て器でシャカシャカと音を立てながらかき混ぜる。
ある程度混ぜたところで塩、瑚椒を散らし、フライパンを温める。

「味付けは好みになるから、塩の代わりに砂糖入れてもいいからね」
「砂糖ってなんだコラ」
「そこから?」

油を引いたフライパンに卵を流しながらレムは調味料の瓶を並べていき、順番に指差す。

「砂糖、塩、お酢、醤油、ソース。これが調味料のさしすせそね、ナイン持ってないと思うから暫く私のやつ使ってもいいよ。どっかにレシピの本あったから、最初はそれ見ながらやるといいかも!」
「へー、詳しいんだな」

至って当たり前の事で詳しいも何も無いのだが、考えてみれば0組にいる彼らは編入した自分達とは違って幼少期から戦闘訓練や戦いに関する勉強ばかりしていたと聞く。
おまけに全員孤児で同じ施設で育てられ、そこで親の愛を幼い頃から受けられなかった彼らへ悲しみが浮かぶ。

知らないのも無理ないよね...。

だが、彼らの絆は家族以上のものを持ち、何があっても結束力が高い。
だからこそ今回、ナインが何も知らなくてもエースの為に行動を起こそうとした意思は理解出来る。
レムはなるべく簡単で、美味しいと言ってもらえる料理を教えようと固く誓った。

「はい、こんな感じ!」

皿の上に出来上がった卵焼きを乗せると、包丁で一口大に切り分けていく。食べてみて、とフォークを渡すとナインはそれで刺して口の中に運ぶ。
出来立て特有のふわふわとした食感が広がり、卵の柔らかい味わいに感嘆の声があがる。

「うめえ!」
「ふふ、ほんと?味付けとか結構変えれるから卵焼きって言ってもバリエーションあるんだよね」
「すげえんだな…、てか俺に作れんのかコラ」
「大丈夫!それならこのレム先生に任せて!」

少しでも手伝えたら、そんな気持ちが伝わったのかナインも頼むなセンセー!と歯を見せて笑った。
卵の割り方から始まり、混ぜ方、味付け。どれをやっても大雑把で不器用代表のようなナインは苦労した。卵を割ろうとすれば強く叩きすぎて潰れ、ヒビが入って左右に開こうとすれば殻が混じり、上手く出来ない事に苛立たしげではあったが、それでもナインは文句や泣き言一つ言わずに何度も何度も練習をした。
試験もそれくらい真面目にやれ、とクラサメ隊長の声が聞こえてきそうな真剣な態度に、レムはエースの事が好きなの?と思わず呟いてしまう。

「...あん?」
「あ、えっとほら、エースの為にそんなに真剣にやるのって好きなのかなって」
「好きかって...、そりゃ家族だからな。アイツとはガキん時から一緒だから好きかって言われたら好きだぜ」
「家族だけ?」
「おう、...ってかそれ以外ねえだろ?」

レムとしてはそういう意味で聞いた訳ではなく、恋情として好きなのか聞いたのだが、食い違ってる様子のナインを否定する気はなかった。

「それに、アイツは俺が見てやんねーと我が儘も言わねえで無理すっからな」

愛おしそうにエースの事を話すナインの横顔が酷く穏やかで、自覚こそしてないものの直感で好意を抱いてるのは間違いないと確信する。
不器用で、それでいて真っ直ぐな感情にレムは小さく笑うとそうだね、と返した。

練習開始からはや1時間。
足りなくなった卵を買い出しに行ったり、エースはどこかと聞いて絡んでくるマキナに特に意味の無いビンタをしたり、様子を見ていたデュースやセブンにも手伝って貰ったりとしていると、コツを掴んだナインはメキメキと上達していった。

「...よっ、と」

フライパンを軽やかに振って卵焼きをひっくり返すナインは、1時間前の卵を握り潰していた人間と同一人物とは思えない。

「凄いな、今までで最高の出来じゃないか?」
「ナインさんはやれば出来る子なんです!」
「わーおめでとうナイン!ちゃんと作れてるよ!」

滑らせて皿に乗せるとフライパンをコンロに戻して手首を振る。
何せ1時間ずっと持っていたのだ、疲れるに決まっている。
テーブルにズラッと並ぶ作った卵焼きの数は凄まじく、最初の物であろう卵焼きは焦げていたり、形がぐちゃぐちゃだったりしていた。
それが練習を重ねていく内に焦げは無くなり良い色合いに、形はきちんと丸まっている物になっている。

「よーっし、こいつでいいんだなコラ!」

やりきった顔をして汗を拭うナインは忘れていた。

「ねえ、ナイン。...何か忘れてない?」
「ア?」
「お弁当作るのにおかず卵焼き1個で終わらせるつもりじゃないよね?」
「......」
「まさか忘れていたのか?」
「寝る前までには終わるといいですね」

笑顔のレム、デュース、セブンの3人に何か怖いものを感じる。
これ1個じゃまずいのかと聞こうとすると、ドン!とテーブルにボウルが置かれた。

「はい、ナイン!次はハンバーグだよ!これが終わったらアスパラのベーコン巻き!」
「肉ばかりになるからおひたしも覚えて貰わないとな」
「勿論エースさんにはデザートも食べて貰わないとですね」

有無を言わさない3人に圧倒されたナインは背を伸ばすと、ガラにもなく吃りながら宜しくお願いしますと敬語を使ったのは、魔導院ペリシティリウム入学以来の出来事だったのは言うまでもなかった。

翌日、朝のHRギリギリに教室に入ってきたナインは自分の席に座ると欠伸をして机に突っ伏した。
昨日料理の練習を消灯時間近くまでやっていて、時間が迫ってくる頃には3人も鬼気迫るものになっていた。特にハンバーグのくだりに関してはナインですら恐れ慄くくらいだ。バハムートですらも翼を畳んで逃げる程のスパルタは今後一生、2度と味わいたくないと思いつつも、教壇前の最前列に座る金色の頭を見つめる。
喜ぶかどうかだなんて保障はない。失敗しても笑ってくれればいい、そんな気持ちでクラサメの朝礼の言葉を聞き流す。
その後も身に入らない授業を受けたり、席を詰めてエースにくっつこうとするマキナの頭に返ってきたテストを丸めてをぶつけたりして迎えた昼。昼休みのチャイムが鳴ると同時に席を立つと、エースのいる席へと向かう。

「よお、飯食い行こうぜ」
「ん。リフレに行くのか?」
「いや、今日は持ってきてんだ」
「?」
「購買で飲みもんだけ買えばいいしよ。あ、本持ってくだろ」
「ああ、ありがとう」

エースの荷物も持つと、弁当が寄らないように慎重に気を払いながら歩いていく。視界の端でセブン、デュース、レムが親指を立ててグッジョブと言っていた気がしたがナインは見なかった事にする。
後ろを歩いていたエースが少し小走りで近付いて隣に並ぶのを感じたナインは速度を落とした。たった半日しか離れていない筈なのに、その半日ですら久々に感じる。

「エース、何か買ってやるよ」
「いいのか?」
「おう。背が伸びるし牛乳か?」
「...、今ここでブリザドBOMを至近距離で食らうのとカフェオレ買うのどっちがいいんだ?」
「カフェオレな、カフェオレ」

他愛の無い冗談の言い合いをしながら笑って歩く2人は誰が見ても仲睦まじく、パッと見の不良に拉致られてる大人しそうな少年というイメージを払拭する。
魔導院の中でもナインとエースの仲は折り紙付きでその信頼関係を知らない者はおらず、一見するとエースが守られているだけのようにも見えるのだが、実際はエースが戦いやすい環境をナインが作り、そこをエースが維持しながら戦うというお互いの能力を把握しているものならではだ。

「おし、裏庭誰もいねえな」
「今日は出席してる仲間も割と少なかったからな」
「あー、なんかジャックが言ってやがったな。...なんとかブリッジに竜だかが来たとかってやつ」
「ビッグブリッジな。白虎との共同作戦で魔導院からも結構な人数が出てるらしい」
「白虎はつえーヤツいんのにやっぱキッツいんだな」
「魔法が使えないからな。空を飛ばれると厄介なんじゃないか?」

エースお気に入りの陽の当たるベンチに座ると、ナインは弁当を包んでいる袋(レムから手渡された)を開けた。
見慣れぬ箱にエースはじっとその様子を見ていると、ほら、と渡される。

「これは何だ?」
「開けてみろよ」

言われるままに箱の蓋を開けたエースは中身に驚く。
詰められた白米に、仕切りで区切られた場所には卵焼きとハンバーグ、アスパラのベーコン巻きにほうれん草とコーンの炒め物がそれぞれ綺麗に詰め込まれている。

「えっ...と、これ...」
「あとこいつな。野菜も食わせろって言われたからよ」

話がよく分からないエースに構わず、ナインは小さなタッパーを取り出すとそれも手渡す。
威力を最小に抑えたブリザドMISを保冷剤代わりに使っていたのか、小さな氷塊がコロンと落ちてきた。
驚きを隠せないエースの表情に気付いたナインは、あー、と言いづらそうに後頭部を掻くと昨日のエースが話していた言葉を呟く。

「...卵焼き」
「え?」
「昨日、マザーの料理食いてえって言ってたろ」
「ああ...そうだな」
「マザーみたいにすげえのは作れねえから、卵焼き。...味とかマザーと同じかどうかは自信ねえけどよ」

ぶっきらぼうに話すナインの手は怪我だらけで、それだけでこの男なりに一生懸命やっていたのだろうとすぐに分かった。
ジワリ、と胸のあたりが温かくなる感じにエースは擽ったくなる。
照れ臭いような、恥ずかしいような。
食べるのを待ってるナインは、まるで主人を待つ飼い犬のようでなんだか微笑ましくなってくる。

「...いただきます」

卵焼きを半分にして口に運んだエースはその体勢のまま固まってしまう。
まさか失敗したのかとナインが声をかけようとすると、エースの口から美味しい、と小さな声だが聞こえた。
懐かしそうに瞼を閉じるエース。
幼い頃、近所に住む子達が誕生日などでケーキやチキンといったご馳走を食べているのが羨ましかった。
決して裕福ではない孤児院、我が儘を言ってはいけないと感じていたエースはマザーにケーキはいらないから代わりに甘めの卵焼きを作って欲しいと頼んだ事がある。
牛乳と軽く砂糖を混ぜた卵焼きはほんのり甘く、牛乳のお陰でふわふわとしていて、まるでパンケーキのようだった。

「懐かしいな…、あの時を思い出すよ」

幸せを噛み締めるようにゆっくりと味わう。
あれ程までに食べたかったマザーの手料理を、孤児院の中でも1、2位を争うくらいのガサツな男が自分の為に作った事実。激務で疲労困憊になっていた体に甘さと、ナインからの暖かさがじんわりと浸透していく。

「美味しい」
「ホントか?」
「僕は嘘は言わないさ。...ハンバーグ結構焦げてるな...」
「う、うっせえな!嫌なら食うんじゃねえ!」

真っ黒に焦がしたのは自分でも分かっているのだろう、エースの言葉に噛み付くナインだったが、ハンバーグも一口サイズに箸で切るとその小さな口に運んでいく。

「美味しい...美味しいよ、ナイン」

小さく、ふわりと嬉しそうに微笑むエースにナインはドキッとする。
そこまで喜んで貰えるとは正直想像していなかったが、突貫で練習したもので笑顔が見れるなら安いものだと思う。
ふとレムに言われた言葉を思い出す。家族にしては妙にむず痒く感じる感覚だが、ナインは確かにエースの事が好きだからやってるんだよな、と納得をした。
思わずまた作ってやっから、とポロッと呟けばエースも楽しみにしてると笑っていた。